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Liminality 青春に殺される……

『梟流』の小鳥遊さんとこの作品です。
 
青春怪談という感じで、主に『視える』体質の〝私〟と、怪談が大好きな『先生』の二人で遣り取りをする短編集。
 って訳で、短編集なので、ざっくり一話ずつ感想ってかメモってか、何でしょうね、これ。

 以下です。

・魚の話
 一話目なので、どんなものかという感じで臨んだこの話。
 零話的位置付けの『回想』があったけれども、あれは私的には物語の下敷きというか下書き的なものだと思ったので、そこは割愛です。
 怪談短編という形式のお話で、先生と、〝私〟或いは〝さっちゃん〟の雑談が好印象。

この子絶対笑顔とか隠そうとしても堪え切れてないよね?

 本筋である〝魚〟までの話と、その祓いまでもテンポが良く、怪異としての気味の悪さもしっかりしていましたが、ただ一つ欲を言うならば、もう少し怪異と現実の前後に情景描写が多く欲しかった感じです。
 うだる様な夏の暑さの中で、突然に腐り掛けの温い水が溜まった水槽に放り込まれる様な肌と鼻で感じる気持ち悪さの助長。そんな描写が欲しかったかも?


・青春雑音
 ちょっと落ちが弱め?
 掌編だとは思っていなかったので、突然終わった感じに。もう少しDVD視聴を長くして、落ちへの伏線を忍ばせても良かったかも知れません。
 先生が電源ケーブルを引っこ抜いたのと、その後の言動が少しちぐはぐに感じたので、視聴中は先生は退席させておいても良かったのかな? 〝私〟が一人で映像に呑まれそうになった非現実感のタイミングで、先生がその境界からケーブル引っこ抜いて連れ戻す……とかかしらん?

 あと金曜ロードショーは『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』かと思った。


・理由並列
 クソッ! イチャついてるだけじゃねぇかこいつら!!


・殺意乱数
 今のところ、収録作品の中で一番好み。
 平然と日常が怪異に侵蝕されていて、それに気付くまでは普通なままで、発覚と同時に裏返るのがとても良いです。
 ある意味で露骨な違和感も、先生のキャラクター性に取り敢えず押し込めておいたのもバランスが良くて、『何か変な気がするが、まあいっか』扱いで読み進められたから、あとでそれが効果的でした。しれっとした瞳の色とか。
 落ちの方も、怪談として尾を引く様に、すとんと綺麗に落とさなかったのが読後感が色濃く残って楽しめました。

 ただ、どの辺りを乱数と解釈すればいいか明確には判らんかったんでごわす。


・幽霊の話
 先生が語り部になって真っ先にこいつ先生じゃないんじゃね? と疑って済みませんでした。
 こんな物好き先生しか居ません。

 話としては、語りと題からの意味を転調が良かったです。上手い引っくり返し。
 子供と大人の立場の違いから来る過去の行動内容の、その重さによって『幽霊』の意味合いの比重が一気に変わって重くなる点が面白かった。
 ただ、怪談の類とするには、読後感が期待していたものとは違って、しめやか過ぎた感じでした。同じ湿り気でも、もっとじめじめした重さになるかと思っていました。
 担任のサイコパシーな暗い潜熱? そんな感じのものがあれば、より好みでした。……俺の性格の問題か。


・創嫉残響
 推理というギミックがありましたが、ちょっと論理が弱めでした。
 『大気怪談』そのものが認知されていたかが曖昧になってしまっているので、先生が『大気怪談』を見つけたというのも、それなりの流行があったからこそかなぁ、とう感じになってしまったので、せめて〝私〟が少し聞いた事があるとかなら、補強出来たかしら? という感じです。
 文芸部室との距離も、大気像への話をしているのが聞こえるくらいに近い距離ならば、恐らく怪談を語りに行くには人目に付く場所になってしまう為、怪談が明らかに機能しないだろうという点、他の部員からも聞こえるという事は部員伝いに西山さんに気付かれる可能性は十二分にあるという点で、ちょっと矛盾しているな、と。
 そう言う違和感がある条件下で、先生が犯人に思い至るのかしらん? という様な感じです。

 まぁ、その辺りは措いておいて。
 怪談としての気味の悪さは、とても良かったです。本文では明確には語られませんでしたが、何だか西山さんが超怖い人に
 作品の構想の先行提示者がどちらだったかというのは、個人的には西山さんが後だと、Aが自分が先に示した構想を、非の打ち所の無いレベルの作品として提出された事になってまるでどう仕様も無い程に打ちのめされた事になるので、『大気怪談』に込められたモノが途轍も無く怨念染みて重くなるので、そっちがいい(小並感)。
 A……可哀想な子……。
 西山さんは西山さんで、ハイスペック過ぎる。怖い。西山さん自体が怪談でいいよもう。


・夕日証明
 クソッ! イチャついてるだけじゃねぇかこいつら!!(2回目)
 淡々とした、〝私〟の兄についての話でしたが、ひたすら〝私〟が可愛い話でした。
 お兄さんシスコンとかじゃないよね?

・映るものの話
 クソッ! イチャついてるだけじゃ(ry
 最後に収録されていた話ですが、何か収録されている作品が後に行くにつれて、〝私〟が可愛い。先生は朴念仁なのか、それとも確信犯なのか……
 何にしろ、〝私〟は先生の事が大好き過ぎ。いいぞもっとやれ。
 そして、怪異を目前にしているのに、平然としている二人の遣り取りが何だかシュールで笑えるという。こういう、異常に対しても普段と変わらない様子でいるのは好きですな。


 全体的に、思ったよりも怪異の話が少なかった印象でした。
 今後、この世界観の続きがあるなら、一度、長編……とは言いませんが、もう少し長い話を読みたいですね。
 主に〝私〟が怪異に巻き込まれまくって碌でもない目に遭う様な話とか。

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