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暗黒定数式:λ ABSTRACTION いわゆる、エンタメ系?

暗黒定数式』のオムニバス集に収録されていたパスベルスさんの作品です。

近未来を時代背景としたλ抽象学院という工学系の女子高に入学する女の子達の話です。

全体的に、何を描きたかったのか、今一つ解りませんでした。
『情報工学系女子の日常小説』的なものを書きたかったのかなぁ……?

初っ端で、何かのメモ書きの様なものがあり、それが2045年を示唆していた様なので、『2045年問題』ものかな? と思いました。
『2045年問題』で一番最初に誕生した技術的特異点の人工知能の話なのかなー、とか思ったり。全然関係無かったけど。
多分、小ネタ的に仕込んでみたのかな……。

そしていきなりかっ飛ばしの専門用語の英文字列。
正直、ルビなり何なりで読む側に日本語で伝わる様にしても良かったのではないかと思ったり、あと英単語で表記する必要があるのかそこ?(Schemeとか) というところがあり、読み始めから文章のリズムが悪く感じて、ちょっと入り難かったです。

知識が無い人にも伝わる様にしなければ、小説としてのガジェットはまるで意味を成さないガラクタになってしまう様な気がするので、ちょっとどうかなぁ……とか思ったり。然して本編に関係無い要素だったり、意味の解る人にだけ伝われ! 的なコンセプトなのかしらん?

表現の手法としては手記的? ……と言うよりも、全体的に描写が淡白過ぎる感じでした。
主人公の古園井ちゃんの感情表現が、一人称視点の割には、ただ羅列されただけの様になっていて、何となく機械的に思えました。キャラ付けの為の淡泊な文章だとしても叙述的過ぎて、キャラクターとしての抒情さが余り感じられませんでした。
小学生の頃から情報工学にド嵌りしていて内気な子というキャラクター性だと思うのですが、事実だけしか書かれていない様な地の文だったので、もう少し描写を増やしてほしかったところ。

λ抽象学院への受験時も、面接を受けている時のガチガチに緊張している感が、一人称なのに何処か三人称的な気がしたので、何処かちぐはぐな印象。
そして面接後に面接官が突然に受験生を送るという展開には無理がある……古園井ちゃんが特別な生徒だったりするなら解るが……

全体的に描写が甘かった様な気がしました。読んでいる側に伝えるべき情報が書かれていないせいで、情景がイメージし難い……面接官の先生二人の性別も、名前から連想出来る程でもなく、かと言って容姿と口調から解るのかと言われても微妙だったりと、色々とつっかえながらの読み進めに。もう少し、地の文での明確な情報量を増やしてほしかったです。

あと、クラス分けの組名にギリシャ文字が使われているのですが、これを表記に使う理由が特に無くて、これまた日常的には見慣れない文字なので、文章のリズムが悪くなっている一因に感じました。

同級生デリアや、他のクラスメイトの登場シーンは流れは自然で、日常の出会いの中で仲良くなっていく感じが、学園ものという何と言うか、青春というか百合? 的に良かったのですが、キャットだけが物凄く唐突に現れた様な感じに見えました。
クラス分け表の場面で登場させずに、教室での自己紹介シーンで印象付けた方が良かったのではないのかなぁ……

うーむ。全体的には、やっぱり描写が不足していて衒学的な内容に感じました。

寮の組み分けについての説明も冗長になっただけに感じたり、他の情報工学系のキーワードに対して何故かLANとWANの説明はきちんと入ったりして、説明が為される要素に疑問符が付いたり。

あと、量子コンピュータが十二分に(RSA暗号突破出来るレベルで)実用化されている時代背景なら、既存のプログラミング言語淘汰されてね……?

技術的にインフラシステムの入れ替えの関係上とかで、中々まだまだ生き残っているとかならまだしも(銀行系システムとかのCOBOLみたいに)、特に説明もなくノイマン型コンピュータの言語が生き残っているのが割と謎……。

あと、個人情報の扱いが、インターネットが普及してかなり手軽にLAN内で色々な情報が(多分SNS的に)扱える様になっている上に、スーパーグローバルな日本学校として説明されている割には、留学生達のプロフィールデータとかが日本語表記じゃなくて、母国語だったりしたのが不自然な感じに。

留学生が多い事に関する説明にしても、外国人という理由だけで優遇される、というのが何か違和感が残りました。工学系女学生を育成する学校なのに、外国人だというだけで授業料免除とはこれ如何に。
外国人のキャラを沢山出したかったのであれば、もっとλ抽象学院そのものを、世界有数の名門校にしてしまった方が良かった様な気も……。

全体としては、日常系の第一話部分のみ、という感じで、キャラクター紹介を行っただけの様な話だったので、短編として完結させるのならば、最初から学校生活を描いてしまった方が面白くなったんじゃないかなぁ、と。

キャラクター達も、それぞれ人種・国籍が違ったり、好んでいるプログラミング言語等を個別に設定していて、割と濃い目になっているので、それをもっと単純娯楽的に纏めた方が良かった様な気がしました。
情報工学の知識として描く部分の濃淡をはっきりとさせて、キャラの掛け合いとかの中に、しれっと濃厚な話をぶち込んだり……? 情報工学の話も解る人にしか解らないという感じになっていた(勿論、俺は全然解っていない)ので、もっと比喩的な表現を盛り込んだりして、知識の無い人にも伝わる様な工夫が欲しかったです。

何と言うか……芳文社とかの萌え4コマ漫画的な、感じに……いや何か語弊がある様な

どうやらパスベルスさんは、同誌にもう一作の短編を、同じ世界観で書かれている様なので、そっち側との繋がりも気になるところです。

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