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ヘヴンズ・コンストラクター まだファンタジー

なろうコン受賞作・高山理図さんの作品。

医療技術によって人類の不老長寿が可能となった世界で、その人口増加に対する方法として移住用の仮想現実アガルタを作る構築士という仕事の物語。

最初、アガルタの構築理由についてが、医療技術の進歩による人口爆発とそれに付随する精神福祉の為、としか説明されなかったので、疑問符が。
そもそも仮想"死後"世界という説明だったので、人口爆発に対する根本的な解決の関連性が読み取り難かったです。
多分、死が無くなった事で、長過ぎる生を精神的に充足させる為の空間、という意味で『仮想死後』世界、つまり仮死的な状態での世界構築という意味? 或いは単純に肉体を捨てて、デジタルでの生を選択する事が可能になったという事でしょうか。

アガルタを一から構築しなければならない理由についても特に言及されていなかったので、その辺の理由が気になるところ。

何にしろ、この世界では人口爆発への物理的な抜本解決をどう模索しているのかなー、とか。

仮想世界での様子は、着々と困難を乗り越えていく主人公・赤井と、それに伴う文明発展の様子が、語弊があるかも知れないけれど、ゲーム的なレベルアップの様で成長がはっきり見えて面白い。
ただ、文明開化に対して、視覚的な描写が少なく感じたのと、あと高山さん自身が造詣の深いバイオ系の描写はちょっと冗長に感じてしまいました。もう少し、化学式周りやらはすっきりとさせた文章でも良かったのかな、と。

あと、赤井も含めて、他の構築士達もそうなのだろうけど、自分だけが不老不死の『神』を演じていて、仮想世界の始祖となる人間とのコミュニケーションを取り続ける様は、アガペーと言えば聞こえはいいけれど、されど元は人間。精神構造としては、明らかに怪訝しい。だからこその『神』なのだろうけれども、赤井は最初から自分の事を考えていない。あらゆる意味で、形で自己犠牲的。それはもう人間としては愛なんて言葉ではなくて狂気。完全に狂ってる。

アガルタというシステム運用の方針的に発狂する神が居やしないのかというのが気になるところ。もしくは、そう言うのを見定める為の例の『試用期間』があったのかしらん? 何にしろ、ホモ・サピエンスにしては赤井キモイ。語呂が良いからもう一回言うけど赤井キモイ。あ、メグは可愛いです。

ロイの独白のシーンで、人工知能と呼ぶには、余りにも素民(仮想世界の始祖となる人間)はプログラムを超えているのが気になった。哲学的ゾンビどころか、自我を備えて『心』を理解している。況してや心の疲弊という概念を理解しているのには驚き。この辺には何かまだアガルタ・システム上での明かされていない事情があるのか気になるところ。

まぁ、もしくはロイだけがズバ抜けて賢いだけで、或いはロイとメグだけが特例となる何か(キリスト教的な使徒の様な)でもあるのかな?
っていうかロイ、頭良すぎ怖い。何だお前技術的特異点か。って思っていたらメグ、お前もか。ロイ程じゃないけど、お前もか。

グランダ城塞辺りは、赤井の逆襲というか逆転劇がすっきりと描かれていて痛快な反面、兵士達の徒労が、赤井の神の力の見せ付けから一周回ってちょっとシュール……ジェロム隊長の印象が完全にギャグ調でインパクト凄い。今後も登場してオチ役っぽい感じになっちゃうんじゃないかってぐらい。

・スオウちゃん不憫可愛い。

スオウ周りのところは、ロイとメグ同様に独白シーンを設けた方が良かったのかなぁ、と。一二〇年分の重みある歴史の呪縛の割にはあっさりと、解放された様に思えてしまったので、あと不憫っぷりから言って絶対そっちの方が良い(何がと言わんが)。

対ブリリアント戦は、何処と無くTRPGのGMとPLっぽさがあって何処か笑えた。八百長で、きちんとした手順を踏めばクリア出来るのだけれど、ミスるとゲームオーバー的なところとか。
緊張と弛緩があるので、さくさくっと読めました。

っていうかもんじゃもんじゃ煩ぇぞ赤井。

今後の展開として、文明として技術水準が上がれば上がる程、住民の信頼というものを維持するには『神』の立ち位置の確保が難しくなるのがどうなるのかという点(さらっと構築士とは別に維持士という存在には触れられていたけれども)と、人工知能としては人間と遜色無い素民達の扱いをどうするのかが気になるところ。

技術水準が上がって科学も発展すれば、それだけで精神面でも心の哲学の発達がある訳なので、現実世界への疑問や、自己存在への言及を素民達が始めちゃったらどうするんだろうなー、とか。
あと、根本的に神という存在が仮想現実的な視点からすれば物質的に存在しているので、それがアガルタの構築への影響・運用・保守面で、素民達との最終的な対立を生み出してやしまわないかとかが気になりますね。

現時点では、ファンタジー寄りの物語展開だったものが、今後はサイバーパンク的にシフトしていくというので、その辺の諸々に言及の仕方が楽しみです。

でもやっぱり赤井の精神構造キモいって絶対。

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